保護者対応

昔、

「家で子どもと二人で先生の悪口を言ってます

と、堂々と、面と向かって言う保護者が、いた。

 

大人同士の会話で、自身の子供についての相談の場で、面と向かって「あなたの悪口を子どもと言っています」である。「子どもと悪口言っちゃってるよ〜、だから何とかしろよ〜、こわいことになるぞ〜。」というニュアンスでの発言である。

 

詳しくは書けないが、不満があったらしい。

ただその不満については保護者自身が「分かります。これについては様々な声がありますよね。」と認めるくらいの、確実にこちら側だけが悪いというものでもない。

その「配慮の足らなさ」について、「様々な声があるのは分かる。でもおかしいよね。」と、子どもと家で私の悪口を言って盛り上がっていたのだとか。

 

 

しかし、大人同士の会話で、面と向かって「あなたの悪口を言っています」と言えてしまう失礼な感覚はよく分からない。相手は私より年上の保護者である。

こういった時に、学校側は何と言い返せばいいものやら。

 

①失礼だな!と感情的に怒る

②そうですか、何か不満があったら今後も連絡ください、とその発言をスルーする

③そんなことを子どもと一緒になって言ってしまっていいのですか?と親を教育する

④悪口を言わせてしまうような状況をつくってしまいすみませんと下手に出て謝っておく

 

まず、①の、失礼だな!と言いたいところではある。

面と向かって「悪口を言っています」だなんて言えてしまう感覚がよく分からない。

「これはおかしいんじゃないですか?」ならいい。

最近学校の立場が低くなり過ぎていると思う。保護者は神様、お客様的な感じが強すぎる。

「保護者と地域と学校で子供を育てましょう」だなんて空気は全く無い。

「学校、うちの子が困っているぞ、何とかしてくれ」という家庭が多すぎる。

「配慮してくれ」という声も大きすぎる。そもそも「配慮」は要求するものなのか?

 

 

教員もへこへこし過ぎているところがある。

そこにある原因の一つは、やはり「時間が無さ過ぎる」ということである。

保護者との関係をこじらせたり、面と向かって意見をすると、当たり前だがより一層忙しくなる。

悲しいことだがそんなことになるのなら②の受け流す方法や、最悪④のとりあえず謝っておこう的な態度をとってやりすごす…行動をとってしまうのである。

 

 

実に悲しいが、私は②の受け流す方法をとってしまった。

不満があることや、不満の内容については真摯に対応しないといけない。それはいい。問題ない。

しかし、面と向かって「悪口を言ってます」という保護者の態度については、スルーをした。

「親子で学校の悪口を言って楽しむ」という行動の問題点にも、指摘はしなかった。

「親子で学校の悪口を言っていることをほのめかすことで要求を通そうとする」というやり口の問題点にも、指摘はしなかった。

 

これが子ども相手なら指導が必要である。

 

これでよかったのだろうか。

いや、よくは無い。間違いなく、よくは無い。

ただ「指摘をした結果生まれる衝突や成果」と「自分の時間や生活、そして保護者との今後の関係」を天秤にかけてしまった。

 

実に情けない。自分に腹がたつ。

 

 

教育実習生であったとき、定年が近い指導教員の大先輩が

「今の時代は、30人学級を受け持ったら、その3倍の人数、90人を育てるつもりでいないといけないよ。」

と言っていたのが忘れられない。その子の両親も含めた、90人という意味である。

③の、親を教育するという方法は、まだ採用できなかった。

 

 

毅然と、

不満に対しては善処する。面と向かって「悪口を言っています」と言うのはいかがなものか。いい気はしない。お子様と「悪口を言う」前に、いつでも連絡をしてほしい。

と言うべきだった。

 

 

親としての振る舞いは、難しいというのはよく分かるけれど。

子は親の鏡。自分も気をつけようと思う。