学芸会 6年生の指導の仕方①

学芸会の指導が始まっています。

学芸会の指導というと…先生が鬼監督になり、

「舞台袖!うるさい!」「もっと、大きな声で!」

という悲しい話ばかりすることになりがちです。

かつてのわたしもそうでした。四年前、前々回くらいまでそうでした。

今年の指導が始まる際に、読んだ本があります。

 

演劇やろうよ!

演劇やろうよ!

 
演劇やろうよ!指導者篇

演劇やろうよ!指導者篇

 

前回の学芸会でなんとなく掴んだものがあったのですが、これを読んで、わたしの指導の仕方は大きく変わりました。

今、6年生の子の多くが、ものすごい勢いで自分で練習や準備を進めています。まだ指導の途中ですが、今日までしてきたことを今後の自分のためにも、忘れないうちにまとめます。

 

台本配布…今までに無い価値、かつ誰もが知っているものを

台本選択は難しいですね。学芸会の台本って

①ミュージカル

②お笑い要素があるもの

③王道の劇

が多いのかな、と思うのですが、私は、「この学年が今までにやったことがないもの」「一番普段の様子から遠いもの」を選びました。前回経験したのがミュージカルなのであれば、絶対に避けます。また、お笑い芸人的な子が多い明るい学年では、あえてお笑い要素があるものは避けます。今までに無い価値を経験させてあげるのが大事だと思いますし、やったことがないからこそ、子もよく考えます。

 

また、これは自分のこだわりですが、「誰もが知っている劇」を自分は採用します。これは、やはりどうしても小学生の劇ですから、セリフをうまく言えない子もいます。観る側が流れを知っていれば、そこは各自で補って観てくれるからです。

 

そして、台本との出会いは肝心。

今回の台本発表時は、かっこよくまとめたスライドを作ったり、dvd をみせたりして、「やりたい!」となるべく多くの子に思わせられるような出会いになるよう工夫をしました。形から入るのも、大事です。

 

役決めまでにやること①ランダム配役半立ち稽古

よく、読み合わせを長々とやりますが、上の本にも紹介されていました。読み合わせは短めに、と。分からない文字を確認するくらいにして、さっさと台本を持って演技をする、「半立ち稽古」に入った方がいい。

今回子も私たちも大いに楽しんだのは、「役決めの前、ランダムで決めた役で通し練習をする」という取り組み。もちろん台本を持って。これが大ヒットで、女の子役に面白い男子が当選したときには、女子顔負けの迫真の演技に大盛り上がり。台本発表の後、2回やりましたが、2回とも楽しく終わることができました。

 

上の本でも紹介されているのが、第一に、この「楽しむ」という姿勢を大切にすること。「静かに」とか「もっと大きな声で」と言われると、萎縮します。楽しくてケタケタ笑いながらできるような練習なら、自然と声も大きくなるもんです。

 

「北風と太陽」で言えば、「静かに!」「大きな声で!」というのは北風的な指導で、強引。太陽的な指導を目指したいものです。自然にやりたくなる、そんな仕組みや環境を作るのが、教師の仕事なのでしょう。

 

役決めまでにやること②練習の進め方の共通理解

この、ランダム半立ち稽古の際に、先生が大体の立ち位置を子供に伝えます。

子供には、「守破離」の話をしました。

まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修行が始まる。その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」。最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から自由になり、型から「離れ」て自在になることができる。

 

ウィキペディアより引用

 

とりあえず、このやり方でやってみ、と。そして、これで通せるようになったら、どんどん破って離していってくれ、と伝えました。

 

役決めまでにやること③裏方決め

①演出

②大道具

③小道具

④衣装

⑤音響

⑥照明

⑦制作宣伝

を、みんなで担当します。(ちなみに、兼任も可。正直かったるければ、ゼロもオーケー。)

この時期絶対にやってはいけないのは、先生だけが頑張る、というやり方。これを始めてしまうと、絶対ダメ。子供が受け身になる。学校間でも足並みが揃わず、学芸会全体で観てもチグハグな印象に。時間をかければ素敵なものができるのは当たり前だし、「先生が頑張った劇」って、何となく観る人にも伝わってしまいます。それは、子供が可愛そうってなもんです。

 

一個ずつ。

①演出

演出は、場面ごとに最大3人ぐらいのチームを作ります。先生が示した型をもとに、その場面を実際にどう表現するのかを考えます。大人の固い頭より、子供の柔軟な発想の方が、いいものが出来上がることも多いです。

また、練習当日は、三人で指導をすると揉めてしまう為、指導リーダーを作ります。指導リーダーには、「カチンコ」を持たせました。この100均で手に入るおもちゃひとつで、子供の目の輝きが違います…。形は大事です。あとは、「バミリ」ができるよう、ビニールテープとペンをセットにして持たせて、かっこいい(100均の…)ケースに入れて管理させました。

これで、ちびっこ大監督の出来上がりです。司令塔的存在で、劇の中心になるので、この子たちとはなるべく多く相談の機会をつくります。

 

②大道具

最低限いるものを一緒に考え、役割を分担し、全てを任せました。もうどんなものが出来上がろうとそれを使う、という覚悟が必要です。ただ、子供は何でもかんでも作りたがってしまうので、大道具は最低限でいいという話は、事前にしておきました。

王様が座る椅子がほしいという話になり、自分たちで直接校長室の偉そうな椅子…を直談判して借りに行った後ろ姿が目に焼き付いています。

また、100均でツールボックスを手に入れ、そこにありとあらゆる使えそうな道具を入れて与えました。図工が好きな子がなりたがる仕事なので、いかに「職人感」を出してやるかにこだわりました。ガムテープ、ビニールテープ、針金、工具、絵の具の大筆…などなど。ここも、やる気にさせるポイントは、形から入ること、です。

 

③小道具

こちらにも同様に、ツールボックス一式を。事前に伝えたのは、大道具と違って個人が持つことになるものが多いから、役が決まってからその持ち主と一緒に相談して決められるコミュニケーション能力がいるよ、という話をしました。個人が作ると、劇に統一感が出ません。例えば、老人役Aが持つ杖は簡素なのに、老人Bの杖はキラキラギラギラ…これでは、違和感があります。だから、ここで小道具の役が統一して作ることに意味があるんだよ、という話もしました。

家にまで持ち帰って、小道具を作ってくれています。これを先生が一人でやっていたら…。無理ですね。

 

④衣装

小道具と同じように、統一感が必要なのは、この衣装。

6年生にもなれば、衣装は布さえ渡しておけば、自分なりにミシンで仕上げることができます。

うん十人分を衣装係が全部作るのは不可能なため、家庭科の裁縫の時間を使って、個人で衣装は作り上げてもらいます。

そこで、目安となる衣装のデッサンを、この係にやってもらうことにしました。

夏休みに、ひたすら布を集めておいたのです。

某カーテン屋さんでは、ハギレ詰め放題100円という素晴らしいセールをされております。

これを利用して、廊下にたくさんの布を準備。この布を使って、どんなキャラクター衣装にするかを考えさせます。

ファッションに興味がありそうな女子がチャレンジしています。そこで、ちょっとお洒落な「スケッチブック」を持たせました。休み時間に布の周りに集まって、体に巻きつけては一生懸命アイデアを描いています。

 

⑤音響

いろんな音が学芸会では必要です。音集めを中心に頑張ってもらいます。

このシーンに必要なBGMは何か?この効果音は何がいいか?と、音楽室や効果音CDを使って、考えてもらいます。

数人、楽器を弾ける子が参加しており、「先生、小太鼓とシンバルとそのスタンドを貸してください」との要望が。ん?と思っていると…そうか、この子、ドラムを習っていた…!と気付きました。戦いのシーンがあるのですが、ここで活躍すること間違いなさそうです。今から楽しみです。

バイオリンを弾ける子が一人いるのですが、ちょっと遠慮気味な子なので、ここには参加していません。おしいなぁ…と思いながらも、まぁ、仕方ないですね。もしかしたら、みんなに担ぎ上げられることも今後あるかもしれません。操作しないようにしないと…。

 

⑥照明

当日のライト操作や、効果的な照明の演出方法を演出家とともに考えてもらいます。

ただ、役が決まらないとどの場面で分担できるかわからないので、まだ決められていません。

 

⑦制作宣伝

これがなかなか面白い。当日観にきてくれる方に向けて、練習状況を記事にして、簡易的な学芸会だよりを作ってもらいます。ここで悩んだ、ここを観て欲しい、練習中にこんなことがあった、あんなことがあったというのを知りながら観る最後の学芸会と、当日だけ観に来る学芸会では、受け取り方に雲泥の差があります。これを、教員目線ではなく、当事者の子供目線でやってみよう、という取り組みです。カメラや原稿、ちょっと書きたくなるようなオシャレなペンや、修正テープを、ケースに入れて渡しました。お便りを書くときの注意点…個人情報や、偏りがないようにすることなど…を理解させてから始めています。発行が楽しみです。

 

絶対に先生がすることは…

①台本決め

②役決め(オーディション)

③最終決定

のみ、と子に宣言しました。あとは、みんなで作り上げる。あくまで私はアドバイザー的な立ち位置。困ったらおいで、もちろん、こちらからもアドバイスはするよ、と。

②の役決めは、絶対に先生です。子供の投票だと、組織票が発生します。

③の最終決定については、「もしも君達が、「本当に殴り合いをしよう」という自主的な考えをもってそれを採用したとする。先生はみんなに任せたと言ったのだから黙ってろ、だなんて言われちゃったら困っちゃうからね、いやまずそんなことはしないんだけど、ここは責任者として、最後の「よし」という決定だけは私がさせてもらう。まぁつまり、そういうクレイジーな場合の話ってことね…」と子に伝えました。

多くの子が笑っていましたが、念のため、伝えました。

 

任せるんだけど、共に頑張ろうという立ち位置。ほったらかすのではなく、横に寄り添う感じ。

北風ではなく、太陽としてそこにいることを目指す。

 

そのほかは材料集め、くらいです。

今年はひたすら夏休みにカーテン屋を回り、ボロ布を格安で集めまくりました。

 

 

さて、まもなく役決めが始まります。

こればかりは、先生の辛いところ。みんなの希望を通せない。お互い我慢です。

やる気を削がないように、慎重にならなくてはいけません。

 

過去にこんな記事を書きました。 

ippoippoippoippo.hatenablog.com

 問題は様々ありますが、無事に終わればもうそれでよしです。

 

まだまだ始まったばかりの学芸会指導。今後、どうなるか。

いつの日かの②に続く。

ippoippoippoippo.hatenablog.com

 ②、学芸会が終わって、ようやく書きました。